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オープンイノベーションとは!?オープンイノベーションを成功させた企業例5選
近年「オープンイノベーション」という言葉耳をにする機会が増えたように感じます。そして今後その必要性はさらに高まることが予想されています。今回はそんな「オープンイノベーション」について、企業の導入事例も交えてご紹介していきます。
目次
オープンイノベーションとは
オープンイノベーションとは、新しい技術や新しい製品、サービスなどの開発を、社内外の技術やアイデア、知識などを組み合わせることで、新しい価値を生み出すことを意味します。
オープンイノベーションが浸透した背景
昨今ビジネスにおいてもグローバル化が進み、企業間での競争が激しくなっています。何かを作り出そうとしても、1企業だけで行うには限界があります。企業内部だけの知識や技術だけで新たに何かを作り出すよりも、外部の知識や技術を組み合わせたほうが、より新たなイノベーションに繋がるでしょう。
日本にある「系列会社」はオープンイノベーションの先駆け!?
日本に昔からある「系列会社」は、現在のオープンイノベーションの先駆けともいわれています。それぞれの系列会社が1つになり、知識、技術を組み合わせることでイノベーションの実現に貢献していました。まさに日本的なイノベーションといえるものでした。
現在のオープンイノベーションは、系列会社や企業グループを越える新たなイノベーションを生むことを目的としています。オープンイノベーションは、限られたリソースやそれぞれが持つ知識やスキル、ノウハウ、アイデアを集結させることで、新たなイノベーションを目指します。
オープンイノベーションを導入した企業例 5選
オープンイノベーションには、数々の事例があります。近年オープンイノベーションの事例として、大手企業がベンチャー企業と提携する形で行われることが多くなっています。
トヨタ自動車株式会社 × 株式会社カブク
自動車メーカー最大手のトヨタは、ベンチャー企業のカブクとオープンイノベーションの取り組みを行いました。カブクは、モノ作りに3Dプリンターを活用したい企業や個人クリエイターに対し、クラウドベースのデジタル製造技術ソリューション「Rinkak」を提供しています。
トヨタ自動車の3輪超小型電気自動車「TOYOTA i-ROAD」 向けにカスタマイズパーツを1年間実験的に提供する。利用者は3Dプリンタを活用したボディパーツやインテリアの一部を交換できるようになるという内容です。
これによりトヨタは、3Dプリンタデータを活用した車作りのノウハウや経験を取得できました。
カメラのキタムラ × 株式会社スタディスト
同じくベンチャー企業である株式会社スタディストがカメラのキタムラとオープンイノベーションに取り組んでいます。スタディストの主力事業である業務マニュアル作成・管理サービスである「ティーチミー」をつかってカメラのキタムラが扱うスマートフォン10製品に100本ものマニュアルを作成しました。
スマートフォンを販売している全店舗に導入しており、紙で作成されたマニュアルを減らし、管理サービスの電子化に貢献しています。
富士ゼロックス株式会社 ×中小企業6社
複写機、レーザープリンターの製造販売で有名な富士ゼロックスが展開した「四次元ポケットPROJECT」も、東京や京都などから中小ベンチャー企業など6社が参加したオープンイノベーションでした。
同プロジェクトでは、セルフ将棋や望遠メガフォン、室内旅行機など、富士ゼロックスの発想や技術、ノウハウだけでは実現することの難しい製品を発表しています。
LEGO
数あるオープンイノベーションの中でも成功事例として知られているのが、レゴのプロジェクトです。これは世界的玩具会社として知られているレゴと、レゴのファンらが協同したオープンイノベーションです。
レゴファンの中でも特に熱く支持する情熱的なファンらと共同するもので、ファンがレゴを使って制作したオリジナルキャラクターや造形物の作品をレゴサイトに投稿します。それらを見たほかのファンが投票して上位についた作品を商品化するというものです。
レゴがオープンイノベーションを成功させた要因としては、ファンとの繋がりを大切にしたことにあります。製品の特徴を知るファンとオープンイノベーションしたこと、投稿に対してインセンティブが働くように報奨金制度を設けたこと、オリジナルアイデアが製品化されるというファンにとってはたまらない経験がレゴのオープンイノベーションを成功に導きました。
P&G JAPAN
家庭用品大手のP&Gもオープンイノベーションに活用しています。その技術は、おむつや洗剤、ひげそり、スキンケア、電動歯ブラシなどに応用しています。代表的なのが今世界的に人気があるスキンケア製品のSK-IIです。1970年代に日本の杜氏の手がすべすべしていることから発想をえて、350種類ある酵母菌の中でも特に強く潤いを与える酵母菌を発見しました。その後、研究開発を通して日本発の化粧品を実現し、現在も世界各国で高い支持があります。
P&Gは、この酵母菌の発見や製品開発まで社外の研究機関や専門家らと協力するなど、オープンイノベーションに力を入れています。
このようにオープンイノベーションは、自社の強みに異業種・異分野の強みをプラスできるため、新たなイノベーションの突破口になると期待されています。
オープンイノベーションの課題点
ここまでオープンイノベーションのメリットや成功事例について書いてきましたが、問題点も指摘されています。
人的コスト
オープンイノベーションの課題点として「人的コスト」の問題が挙げられます。オープンイノベーションの場合は、他社と共同で行うことが前提にあるため、情報や知識の交流、さらに人を介したコミュニケーションが伴います。社外の人とのコミュニケーションには、時間を合わせたり、移動の必要があるため通常よりも様々な面で人的コストが発生します。
自社の技術やノウハウの流出
オープンイノベーションは、「自社の技術や情報の流出」という面で問題は多くあります。社内にある情報や技術を社外と共有することは多くのリスクが伴います。そのため、オープンイノベーションを始める前にまず、情報開示や情報提供に関する内容をしっかりと両者間で決めておく必要があります
まとめ
オープンイノベーションは、新たなイノベーションを起こせる可能性の一方で、情報流出というリスクも考慮しなければなりません。オープンイノベーションを実行する際には、知的財産や技術に深い知識を持つ人材を配置した部署を作り、公開して良い情報と、そうでない情報を明確に分けるオープン&クローズドを導入し、可能なものから始めていかなければなりません。
これらのポイントに注意しながらオープンイノベーションを進めれば、あらたな革新の実現を目指せます。