- オフィスインタビュー
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重厚感のある応接室を、リラックスできる雰囲気に一新。移転後も手を加えた、ネオマーケティングのオフィス
「おしゃれな会議室」としてだけではない用途で使うために、移転後に手を加えた部屋があるというネオマーケティングのオフィス。目的にそぐう部屋に進化した結果、業務に活用されています。
2フロアに分かれているオフィスの使い勝手の良さや、オフィスへのこだわりについて、代表取締役社長の橋本さんにお聞きしました。
(2/19に取材を行いました。)
大学卒業後、新卒で広告代理店に入社したのち、株式会社ネオマーケティングを設立。代表取締役社長に就任。
目次
「マーケティング業務に活用中のフロア」と「ワンフロアにこだわった執務スペース」との2フロア
卯岡
インタビューに打ってつけの、リラックスできるおしゃれなお部屋ですね!
橋本さん
この部屋は、まさにそうした用途を目的とした作ったものなんです。
卯岡
インタビューを、ですか?
橋本さん
ええ。「デプスインタビュー」と呼ばれる、一対一のインタビュー用の部屋でして。当社はマーケティングリサーチをメインに事業展開しており、デプスインタビューは市場調査を行う際に用いられる調査手法のひとつ。商品やサービスへの潜在的なニーズや率直な感想などを、消費者であるモニターにお聞きしています。
卯岡
おしゃれな部屋である必要がある、ということなのでしょうか。
橋本さん
おしゃれすぎてもダメなんです。デプスインタビューの目的は、深層心理を掘り下げることなので、受け手がリラックスできる環境である必要があるんですね。部屋づくりに関しても項目があり、この部屋はそれらを網羅して作られています。
例えば、当初用意したソファは、質のいいものだったんです。しかし、リラックスがポイントになるデプスインタビューでは、高級ソファよりも自宅にありそうなものが適しているんですよ。あとは、暖色を多く取り入れたり、グリーンの量であったり、採光であったり。肩の力を抜ける環境が整っています。本音がぽろっと出ちゃいますよ(笑)。
卯岡
ぜひ、今日も本音のトークをお願いします(笑)。このお部屋に来るまで、各部屋の入口に「RAINBOW」の内、どれかひとつのアルファベットをモチーフにした会議室を見ましたが、全部で7部屋あるのでしょうか。
橋本さん
その通りです。7部屋なので「RAINBOW」にし、各頭文字から始まる言葉から、会社が大切にしていることに当てはまる単語を探して提示しています。
卯岡
事業はマーケティングリサーチがメインだとお話いただきました。特に強みとされていることは何でしょうか。
橋本さん
商品開発ですね。化粧品から食料品、日用品に至るまで、さまざまな企業と仕事をしています。市場調査のデータを基にプロモーションをし、お客さんが製品を作ったあとに検証をして……とマーケティングのサイクルに関するサービスをワンストップで提供しています。
卯岡
オフィスは以前から渋谷エリアで移転されてきたと伺っています。渋谷にこだわりがあるのでしょうか。
橋本さん
情報が得やすいためですね。マーケティングの仕事は、情報をいち早くキャッチすることが大切です。渋谷にはITベンチャー企業が多く、情報交換がしやすいんですよ。
卯岡
事業内容に由来しているのですね。移転の理由はキャパシティですか?
橋本さん
どの移転もキャパシティがメインの理由でしたね。渋谷エリアにオフィスを初めて設けたときには3名だったのですが、今や120名ですから。増床や移転を経て、今の5物件目に至ります。
卯岡
今のオフィスに移転してきたのはいつ頃ですか?
橋本さん
2013年8月ですね。
卯岡
2005年12月、2007年4月、2010年4月と移転されていたこれまでと比べると、長くこちらにいらっしゃるんですね。
橋本さん
現在のオフィスは、渋谷エリアの坪単価の上昇傾向を予測し、長い目で見て移転をしているんです。そのため、移転当時の人数にとっては広すぎるところを選びました。会議室などがある7階と執務スペースの11階と、2フロアを有しています。結果的に、渋谷の坪単価は上昇。早めの移転は正解でしたね。
卯岡
オフィスを選ばれた際、こだわった点はどこですか?
橋本さん
執務スペースをワンフロアに設けられることですね。以前、2フロアに分かれたことがあったのですが、コミュニケーションが取りづらくて。顔を合わせない人がどうしても出てきてしまうので、できればワンフロアにしたいと思っていました。
ただ、人数が増えた分、当時なかなか条件を満たせる物件が見つからず、物件探しに1番苦労しましたね。
卯岡
内装に関してはいかがでしょうか。どういったご要望を出されましたか?
橋本さん
コミュニケーションを取りやすいようにしてほしい、全社会議ができるスペースを作ってほしいと伝えました。具体的な要望ではなく、抽象的な概念を伝え、3~4社でコンペを行いました。
卯岡
では、そんなオフィス、さっそく拝見させてください!
用途で2フロアに分けられたネオマーケティングのオフィス見学ツアー
7階と11階に分かれているネオマーケティングのオフィス。まずは、会議室やマーケティングに利用している部屋が並ぶ7階から案内していただきました。
途中から内装を変えた「デプスインタビュー用ルーム」
橋本さん
今回インタビューを受けているこの部屋は、実は最初から今の内装ではなかったんですよ。
卯岡
えっ、そうなんですか?
橋本さん
もともとは、重厚感のある雰囲気の応接室だったんです。デプスインタビュー用の部屋を作ることになり、いわゆる応接室はなくなってしまったんですが、それほど不便を感じてはいません。
卯岡
リニューアルした結果の今だったんですね。
橋本さん
ほかにも、途中で手を加えている部屋があるんです。そのため、当初付けたRAINBOWを頭文字とした言葉と部屋の実際の使い方には、関連性があまりなくなっています。
対立構造が生まれにくい「円卓の部屋」
橋本さん
この円卓の部屋が、先ほどお話しした途中で手を加えた部屋ですね。
卯岡
大きな円卓が印象的ですね。
橋本さん
円になってミーティングをするほうが、対立構造が生まれにくいという心理的な要素があるんです。これは取り入れてよかったなと思っているポイントですね。
卯岡
あとから手を加えた部分というのは……?
橋本さん
隣の部屋に行けば理由がわかりますよ。
▲くっきり向こう側が見える
卯岡
わっ、先ほどの部屋が丸見えなんですね。でも、円卓の部屋からこちらは見えなかったですよね……?
橋本さん
マジックミラーになっているんです。向こうの部屋で、モニターの方に忌憚のない意見を自由に話し合ってもらい、こちら側でメーカーさんと私たちが様子を見聞きするわけですね。
▲奥に見える鏡がマジックミラー
卯岡
マジックミラー、刑事ドラマでしか見たことがなかったです。
橋本さん
壁をいじらなければならないので大変でしたが、活用されています。消費者たちがメーカー担当者を目の前にすることなく話せるので、ストレートな意見や感想が得られるんですよ。
商品開発に役立つ発想を得る「イノベーションルーム」
卯岡
こちらのお部屋には、スケッチブックやレゴなど、さまざまな商品が並んでいますね。
橋本さん
新規商品の開発をメーカーと手掛ける際、イノベーションを起こすための部屋と位置付けています。レゴがあるのは、触っているとアイディアが出やすいためです。
会場調査や全社会議に活用中。「CLTルーム」
▲レイアウトの変更がしやすいよう、家具は折りたたみ式
卯岡
このお部屋は、かなり広いですね。
橋本さん
CLTルームと言いまして、会場調査や全社会議を行っています。CLTはCentral Location Test、つまりここで行っている会場調査を指しますね。
卯岡
会場調査は何をするものなんですか?
橋本さん
実際の店舗のように什器に商品を並べた環境にモニターの方が入り、試飲試食をしていただいて感想をお聞きしたり、実際に買い物をするときのように商品を手に取る様子を観察したりする調査ですね。
私たちは、買う前にはいろいろ吟味しているはずなのですが、そのときの思考はレジで会計して店を出る頃には忘れてしまうものなんですよ。そのため、消費者の行動理由を得るには、「選んだその場」が1番適しているんです。
卯岡
なるほど。なぜそれを選んだのか、反対になぜあちらを選ばなかったのかを探るための調査なんですね。
橋本さん
その他、セミナールームとしても活用しています。用途に合わせて使い分けられるよう、棚やテーブルを何種類か取り揃えているんです。
壁のないワンフロアにこだわった「執務スペース」
11階にある執務スペースは、一目でフロア全体が見渡せる壁のない空間がこだわったポイントです。
橋本さん
互いの様子がわかりやすくなりました。
卯岡
皆さん、オフィスへの出社が基本なのでしょうか。
橋本さん
テレワークもあるにはありますが、情報漏洩のリスクが高いビジネスを手掛けているため、出社が基本スタイルではありますね。
卯岡
7階とフロアが分かれていることによる影響は何かありますか?
橋本さん
用途でフロアが分かれているため、デメリットは特にありません。むしろ、メリットを感じていますね。CLTルームに集まって、デリバリーを頼んで納会を行ったり、飲み会を開いたりするようになりました。仕事が残っている社員も参加しやすくなったんです。
卯岡
お店だと滞在できる時間に限りがありますし、わざわざ出向かなければならないですもんね。
橋本さん
ええ。「ちょっとだけ顔を出す」選択が取りやすくなったと感じています。また、集まっている社員側としても、フロアが違うので過度に気を遣わずに済むんですよ。
卯岡
執務スペースの端にあるのは、集中スペースですか?
橋本さん
いわゆるファミレススペースですね。仕事やリフレッシュで使っている社員が多いスペースです。ここだけは間仕切りで区切り、集中できるようになっています。
卯岡
その他、社員さんからオフィスに関する感想をお聞きしたことはありますか?
橋本さん
直接聞いているわけではありませんが、人気スポットのひとつは共有スペースなんです。
卯岡
共有スペースがあるんですね。
橋本さん
ええ。自社スペースではないのでご案内ができないのですが、地下に食堂とカフェスペースがありまして。手頃な価格でランチが食べられたり、弁当を広げたりできるんですよ。
卯岡
オフィスから外に出ることで、気持ちのリフレッシュになりそうですね。
橋本さん
気分は変えられるでしょうね。外にランチに行くのが億劫な雨天時は特に便利です。半数程度の社員が利用しているのではないかと思います。
11階のキャパシティの限界は「恐らく3年」。今後もオフィスの変化は続く
会議用フロアと執務スペースフロアに分かれている、ネオマーケティングのオフィス。なかでも会議用フロアの部屋は、移転当初の内装に手を加え、マーケティング業務に適した空間に進化してきました。
長い目で見て決めたオフィスとはいえ、会社の成長と共に、いずれ限界はくるもの。「そのときには、7階の一部を執務スペースに変更するなど、何らかの手立てを取らなければなりません。コミュニケーションコストが発生することも踏まえ、本気で考えていきたいと思っています」と橋本さんは語ります。
新たな用途や人数の変化に応じて、進化を続けていくオフィスを垣間見られた取材でした。