- オフィスインタビュー
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「社会情報インフラに」。衛星データを駆使してソリューションを提供するSynspectiveのオフィス
SAR衛星からデータを取得し、事業の意思決定に使える形に変えて情報を提供している株式会社Synspective。
創業からわずか1年5カ月で109億円を集めた資金調達は、宇宙スタートアップとして世界最速・国内最大規模であり、国内外から注目を集めています。
衛星開発、データサイエンスといった高度な専門知識を持ち合わせたプロフェッショナル集団は、一体どんな職場で働いているのか。
熊崎さん、芝さんにお話を伺い、その内側に迫りました。
(2/4に取材を行いました。)
高校時代にシンガポールへ。帰国後、大手IT企業を経て起業。その後数社の創業に携わる。PR・マーケティングを軸にキャリアを形成し、PR会社のアドバイザーも兼務。
2017年より広告クリエイティブ業界大手tyoにて新規事業開発部のプロデューサーとして入社し、新規事業部の設立に携わる。2019年にSynspectiveへ入社。現在は主にPRを担当。
京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻 修士課程修了。
2014年よりPort Inc.にて人材採用コンサルティング、メディア事業に従事。2015年WASSHA Inc.にて事業企画を経て、エンジニアに転向しタンザニアへ駐在。ソフトウェア開発および事業オペレーション改善をリード。2018年より衛星画像ソリューション開発のエンジニアとしてSynspective創業期にジョイン。現在は主に人材採用、組織開発を担当。
目次
「衛星データ取得」と「データ解析」で問題解決に導くSynspectiveの事業
Seiya
こちらの3Fの会議室に来る前に1Fの様子がチラッと見えたのですが、青のグラデーションが綺麗ですね!
熊崎さん
ありがとうございます。
弊社のオフィスは全体を通して、「地球と宇宙のカラー」を重視しています。
特に1階は、入り口からその色味を感じてもらえるように作られていて、宇宙空間や大気圏内(宇宙と地球の間)をイメージしています。
Seiya
なるほど、オフィスのコンセプトはSynspectiveさんの事業とリンクしているんですね!
芝さん
そうなんです。
弊社はSAR衛星からデータを取得し、そのデータを専門知識がない人でも使える形にしてお客様へ渡すサービスを提供しています。
Seiya
スケールが大きいですね…!
自社の衛星を打ち上げられているんですか?
芝さん
いえ、実はまだなんです。でも、1機目を今年打ち上げます。
さらに2022年に6機、そのあと25機、そして最終的には数十機〜100機の規模にまで広げていく予定です。
Seiya
衛星はどこで作られているんですか?
芝さん
今は、共同研究しているJAXAの敷地内を一部間借りして作っています。でも、2号機からはこのオフィスの地下一階で作ります。そのために、今ちょうど設備を整えているところです。
▲SAR衛星の実物大模型。重さは100kg級、大きさは畳んだ状態で70㎝四方と、意外とコンパクト。
Seiya
取得した衛星データは、どんなお客様に提供されるのでしょう?
芝さん
政府や自治体から、銀行、保険、不動産業界など、様々な業種のお客様ですね。
Seiya
素朴な疑問なのですが…衛星データを金融業界でどう活用できるのでしょうか?
芝さん
例えば、世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートは、駐車場の車の台数の増減と毎期発表する売上データを組み合わせれば、四半期決算の前に業績予測が可能です。
あと、石油タンクを上から見ると、蓋の位置で備蓄量がわかるんです。それで石油価格を予測して、意思決定に使われることもあります。
Seiya
そういう使われ方をするんですね…!
芝さん
そうなんです。
建設業界ですと、日々のオペレーション確認や、事故が起こらないように斜面の具合を確認するために使います。
政府では、都市全体の変遷や開発の進捗具合を俯瞰して、次のプランニングに活かします。特に途上国でのニーズが強いですね。
Seiya
衛星データを誰でも使える形に変えて提供するということですが、高度な専門スキルが必要になりますよね?
芝さん
おっしゃる通りです。
データをわかりやすくビジュアル化して見せるプロダクトを開発しており、そのメンバーが作業しているのが、この2Fと3Fになります。
どちらのフロアも、住宅のようにリラックスした気持ちになってもらえるよう工夫していますよ。
「ここに来れば効率よく働ける」。Human-Centered Designで働きやすい職場環境を提供
テーマは「カジュアル」。賑やかなワークスペースを意識した2F
Seiya
こちらが2Fの執務室ですね。
熊崎さん
2Fのテーマは「カジュアル」です。
ふとしたタイミングでもディスカッションや立ち話しができるように、気軽にコミュニケーションが取りやすい、賑やかなデザインのワークスペースを意識しています。
Seiya
真ん中を境目に、床の色がちがっていますよね。
▲執務室とはちがって、床の色がベージュの空間
熊崎さん
執務室エリアにはスペースカラーを取り入れて集中できるように、それ以外の場所にはヒューマンカラーを取り入れてリラックスできるように、とカラーを使い分けています。
Seiya
色で意識的に分けているんですね!
熊崎さん
そうなんです。
執務室エリアの奥の方へ行くと、ハイテーブルとハイチェアのあるエリアがあります。
少し集中しすぎた時には気持ちを切り替えたり、姿勢を整えリラックスしたり、よりラフな姿勢での打ち合わせを行うために、スタンディングスペースを置いているんです。
▲ハイテーブル&ハイチェアで、気持ちを切り替えて仕事できる
仕事に「フォーカス」できる3F
Seiya
3Fのテーマは何でしょうか?
芝さん
3Fのテーマは「フォーカス」です。より静けさや集中を高めてもらう狙いがあります。
Seiya
確かに2Fに比べると、シンプルで落ち着いた雰囲気がありますね。
芝さん
より集中してエンジニアチームに作業してもらうためのスペースですね。
Seiya
3Fの空間作りで意識したことはありますか?
芝さん
フォーカスして業務に取り組みながらも、息抜きできる場所をいくつか作ることを意識しました。
例えば、窓際にあるソファが置いてあるスペースです。
芝さん
疲れた時に休憩や仮眠ができるスペースで、メンバーからも人気です。
Seiya
仮眠スペースがあるのは、疲れや眠気を取れるのでありがたいですね!
芝さん
ソファに座ってゆっくり専門書が読めるライブラリースペースも設けています。
芝さん
ライブラリースペースは、コーヒーなんかを飲みながら談笑できる、ダイニングのようなスペースですね。
Seiya
ちょっと気になっていたんですが、海外の方がオフィスの中に大勢いますよね。
芝さん
そうなんですよ。社員の25%は海外のメンバーです。
レーダーの技術や機械学習、衛星画像の知識を持っている人は日本にあまりいないので、国外の人にもジョインしてもらっています。
社員もゲストも集まりやすく。「ソーシャル」がテーマの1F
熊崎さん
冒頭でお話した1Fのテーマは「ソーシャル」です。
社員だけなく、お客様も含めたみんなのためのオープンスペースとして、人が集まりやすい空間設計を行っています。
Seiya
壁のグラデーションが綺麗で、宇宙を連想させますね。
熊崎さん
オープンスペースは社内の全体会議や、ワークショップの会場としても使っています。
芝さん
社員同士とのコミュニケーションのみならず、お客様やパートナーさんが気軽に入って過ごしてもらえる空間を意識しています。
▲おしゃれなひな壇は、大勢の会議のときに活躍するスペースなんだとか
熊崎さん
2F、3Fと同じように、この1Fでもリラックスできるよう、卓球台やダーツの的を置いています。
Seiya
先ほど、「住宅のようにリラックスできる空間」を意識したというお話がありました。
清澄白河という場所も、リラックスというキーワードを意識して選ばれたのでしょうか?
熊崎さん
そうですね。
清澄白河は、道が広くて開けており、静かな場所です。あまり都会の喧騒感がないじゃないですか。近くに現代美術館やおしゃれなカフェがたくさんあって、仕事が煮詰まったときに休憩しに行くこともあります。
リラックスすることも、全体の仕事の中で重要な時間だと思うんです。
社員一人ひとりがコミュニケーションを取りやすくてモチベートされやすい環境という意味で、清澄白河がいいんじゃないかなと思い選びました。
Synspectiveが目指すゴール。「社会情報インフラになる」
Seiya
Synspectiveさんならではの制度や取り組みはありますか?
芝さん
全正社員が半年ごとに契約更新をする制度や、全社員に付与されるストックオプション制度などがあります。
制度以外だと、CEOオフィスアワーがありますよ。
Seiya
CEOオフィスアワーとはなんでしょうか?
芝さん
社員が自由にCEOと話せる時間のことです。週に2回、社長の時間を押さえて開催しています。
今社長が考えている戦略の共有や悩み相談など、話す内容はなんでもOKです。
社員はもちろん、CEOもメンバーが考えていることを情報収集する良い機会になっています。
Seiya
みなさんどんな働き方をされていますか?
芝さん
働く時間や場所は、各チームで決めてもらっているので、それぞれ自由です。
就業規則上だと勤務時間は9〜18時ですが、チームのパフォーマンスが一番上がる場所や時間で働いてもらっています。
Seiya
目指すゴールを達成するために、チームで考えて動いてくださいというスタンスなんですね。
芝さん
そうですね。
とはいえ、やはり同じ会社で働くわけですから、お互い顔が見えた方がコミュニケーションが取りやすいですよね。なので、「みんなが来たくなるような、この場所で働くと効率が良くなるようなオフィスにしたい」という想いがあって、オフィス作りに取り組んでいます。
Seiya
Synspectiveさんはどんなゴールを目指されているのでしょうか?
芝さん
我々の目標は、社会情報インフラになることです。
多くのSAR衛星を打ち上げることで、情報の取得頻度が上がり、安定的にデータを取れるようになります。今は1週間に1回ほどしかデータが取れないのですが、今後は数時間に一回の頻度で取れるようになるでしょう。
高頻度でデータを取得できれば、災害対応にも使えるデータが得られるようになるんです。
Seiya
衛星データから災害が未然に防げるようになる可能性があるんですね…!
芝さん
そうなんです。
実は、衛星を持ちながらデータ解析ソリューションも提供しようとしている会社は、世界にまだいません。
その両方を兼ね備えてより確度の高いサービスを提供できるところが、我々の存在価値、サービスを提供する価値だと捉えています。
弊社のミッションは「Synthetic Data for Perspective」。
俯瞰して物事を見るためにデータを統合するという意味で、社名のSynspectiveは、このミッションから取っています。
衛星データ取得とデータ解析を通して、社会情報インフラになること。それが、我々のロードマップの一番先にあるゴールです。
「プロフェッショナルの集まりだからこそ、横のつながりを作ることが大切。」と語る熊崎さんと芝さん。強い個が組織としてまとまるための大切な場として、オフィスの重要性を認識されていました。
社会情報インフラを担い、多くの人を助けていくであろうSynspectiveさんの今後の展開に目が離せません!