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- オフィスインタビュー
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働き方の多様化と偶発的な対話を目指して。コドモンの“会社の象徴”を巡るオフィス見学ツアー

保育・教育施設向けの業務支援ツールを軸に、子どもの育ちと学びを支えるサービスを展開する株式会社コドモンは、人員拡大に伴い、五反田エリアに新オフィスを開設しました。テーマは「人が自然と集まり、思わず話したくなる空間」。今回、その新オフィスを見学させていただきました。

2021年6月に法務立ち上げメンバーとしてコドモン入社後、2022年10月より総務チームを兼務し、ファシリティマネジメントをはじめ各種の総務業務を経験。2023年2月より法務総務グループマネージャーとなり、前オフィスの改修工事の責任者も担当。2024年の移転PJスタート時にPJ責任者となり、移転計画の立案、コンセプト設計、内装工事など移転にかかる全般を推進。

2022年2月に環境推進チーム東京オフィスメンバーとして入社。環境推進チームでは快適かつ効率的な職場環境の整備を推進。2024年オフィス移転PJではPMとして全体進捗管理から、内装検討、実務まで幅広く担当。現在は環境推進業務と兼務で広報業務にも従事。

2023度の新卒として入社。新卒で総務に配属され、各種総務業務を経験。オフィス移転PJでは転居準備、退去対応などを中心に担当。現在はオフィス戦略の立場から、中長期的な視点で「出社したくなる空間づくり」に取り組んでいる。

2021年9月にカスタマーサクセス部サポートメンバーとして宮崎オフィスへ入社。2022年8月にコーポレート統括部環境推進チームへ異動し、宮崎オフィスの総務業務を統括。2024年10月から環境推進グループマネージャーとして、東京・宮崎両オフィスの環境整備に携わり、移転PJでは宮崎からPMのフォローや移転後の運用ルール整備などを担当。
目次
コミュニケーションが生まれ、組織文化が醸成されるオフィスを
まずは御社についてご紹介をお願いいたします。

「子どもを取り巻く環境をテクノロジーの力でよりよいものに」をミッションに掲げ、その実現に向けて多様なサービスを展開しています。主力事業は保育園と保護者のコミュニケーションツールや保育園の業務効率化ツールで、同ツール内では写真販売サービスも行っています。また、保育園専用の求人サービスや保育園向けのECサイト「コドモンストア」も運営しています。
私の周りの身近な方が通われている保育園でもコドモンが導入されているとよく聞きます。とても使いやすいと評判です。
嬉しいですね。実は現在、toCサービスの展開も検討中で、将来的には保護者向けのサービスも提供していく予定です。
そうなんですね。新たな事業を加速度的に手掛けていらっしゃいますが、従業員数は300名を超えられたとか。
そうなんです。当社は九州から北海道まで各地にメンバーがおりまして、出社・リモート問わず年齢やライフステージが異なる多様な人材が働いています。
そうすると、一度も会ったことのないメンバーもたくさんいらっしゃるのでしょうか。

実はそんなこともないんです。たとえば今日も、宮崎のメンバー数名が「Office Journey(オフィスジャーニー)」という制度を活用して、東京オフィスを訪れています。
「Office Jjourney」…?
地方でリモート勤務をしている人は、業務があれば出張として東京や宮崎オフィスに行けるのですが、それとは別に「Office Journey」という制度があります。全社向けに年に一度、業務都合がなくても別のオフィスに行くことができる制度で、オフィス間の交流を促進しています。交通費と宿泊費は会社が負担しています(上限あり)。訪問先のオフィスで働く人とコミュニケーションをとること、簡単な感想レポートをSlackに投稿することを条件にしています。

23卒の私もOffice Journeyを利用したことがあります。新人社員研修が宮崎開催だったので、毎年同期とOffice Journeyを活用して思い出の地である宮崎オフィスに集まるようになりました。入社してからまだ会ったことがない人と交流することで、オンラインでのコミュニケーションでは見えなかった部分がわかりますし、つながりも広がりました。

柔軟な働き方を導入しているコドモンさんだからこその素敵な制度ですね!リモートの方が多くいらっしゃる中で、今回の移転にはどのような目的があったのでしょうか?

主に人員拡大への対応とコミュニケーションの活性化が目的でした。出社人数に対して会議室が足りない、必要最低限のスペースしか確保できないといった課題があり、その結果「出社する楽しみがない」「自宅の方が効率的」という状況を生み出していました。
そういうものが一つひとつ積み重なって、従業員のエンゲージメントが上がらないという課題も生まれていたので、総合的に解決したいという思いが背景にありました。
そこで、現オフィスでは社員がより快適に効率的に働くことができ、コミュニケーションが偶発的に生まれることを目指しました。
オフィスで働く環境や意味をアップデートしているんですね!
「出社を強制して何かを行う」という戦略は取りにくい私たちだからこそ、それぞれのライフステージに合わせた柔軟な働き方を強みにすることが重要だと考えています。一方で、同じ方向を向いて進んでいくためにミッションや行動指針はあれど、どれも無形物。従業員にとって“目に見えるかたち”の「会社の象徴」が必要なフェーズに入ってきたと感じていました。代表の小池の言葉を借りると「マテリアルがない」状況だったんですね。
また、新人のオンボーディングが早くなる、立ち話で問題を早期共有できるなど、MTGをセットしてから話し合いを始めるのとは異なる情報の流通経路を生み出せるという点においても、対面コミュニケーションのメリットも多くあります。
そこで、現オフィスは、コミュニケーションの場と、組織文化を醸成し表現する場としての機能を持たせる形で設計しました。
とてもよく、目的や存在意義を考え抜かれているオフィスなんですね…!では、コドモンさんのオフィスを拝見させてください!
“会社の象徴”へ。コドモンのオフィス見学ツアー
コミュニケーションの場としてだけでなく、組織文化を育み、表現する空間でもあるコドモンさんのオフィス。今回はその全貌を、エントランスから順に見学させていただきました。
積み木をモチーフとした、コドモンらしいエントランス

エントランスには、あえて斜めのガラスを取り入れました。訪れた人の視線が、自然と左奥のカフェスペースへと向かうように設計しています。

受付台には、旧オフィスから受け継いだ「積み木」をテーマにしたデザインを採用しました。遊び心と、コドモンらしさが感じられるように工夫しています。使用しているのは、木質繊維を原料としたサステナブルなOSB合板です。ちなみに、ソファフレームもオリジナルで造作したものなんですよ。
子ども心をくすぐられる空間ですね!
コドモンストアの商品が並ぶ展示スペース

本物のお店のような空間ですね……!
ここでは、先ほどお話しした「コドモンストア」で取り扱っている商品を展示しています。これから展示物も増やしていく予定です。

こうしたスペースからも、コドモンさんの成長の軌跡が感じられますね。

エントランスと同じ木質繊維を使用し、こちらも積み木をイメージした空間に仕上げました。
多目的に使えるカフェスペース

エントランスから見えていたのが、こちらのスペースですね。
はい。カフェスペースでは、ミーティングやランチ、休憩に加えてイベントを開催することもあります。
椅子の色合いが素敵で、コドモンさんらしさを感じます。
青は内装業者さんが提案してくださったのですが、グレーとベージュは私たち自身で選定しました。
なるほど。外から感じるコドモンさんの印象と、実際に中で働く人たちの想いが、うまく溶け込んでいるんですね。

こちらの6人席では、新メンバーと同じ部署のメンバーでウェルカムランチを開催することもあります。

先ほどの展示スペースの裏側はカフェカウンターになっています。
清潔感がありますね。
旧オフィスでは収納が足りず、物が出しっぱなしになってしまう場所が多かったんです。そうなると、自然と「きれいに保とう」という意識も薄れてしまっていて…。そこで現オフィスでは、収納を全体的に増やすことでその課題を解消しました。同じメンバーが働いていても、それだけで空間がすっきり保たれるようになったんです。「この状態をキープしたい」という気持ちを、みんなが自然と持てるようになったのは、大きな変化でしたね。
本物の公園のような芝生エリア

まるで本物の公園のような空間ですね。見ているだけで、なんだかワクワクします。
芝生エリアは、特にランチタイムに賑わいます。靴を脱いで過ごせるので、リラックスしやすいんです。
開放感のある窓に、キャンプ用品やYogibo、掘りごたつまで。家でくつろいでいるような、公園でピクニックをしているような……不思議な魅力がありますね。

そうなんです。特にこの掘りごたつは人気で。私は、窓際でYogiboに座るのが気に入っています。つい寝てしまいそうになるくらい、リラックスできるんですよ。
Office Journeyで東京オフィスを訪れた宮崎のメンバーからも、「芝生エリアやカフェスペースの大きな窓からの景色が印象的だった」という声がありました。
五反田は飲食店が多いため、テイクアウトしてここでランチを食べる社員も見かけます。

キャンプチェアに座ってミーティングをしている人もいますよ。

自席とは違う環境だからこそ、よりクリエイティブなアイデアが浮かびそうです。
音響設備に加えて、社内クラブ活動の備品ですが電子ピアノも置いてあるんです。保育士資格を持っているメンバーが何人かいて、ときどき演奏してくれることもあるんですよ。
子どもらしさとつながりを感じる会議室

旧オフィスの会議室不足を解消するために、大小様々な会議室を設けました。まずご紹介するのは、カフェスペース内にある12席の会議室で、最も広い部屋です。

壁に絵が飾られていますね。
はい。こちらは、役員陣のお子さんが描いてくれたものなんです。今後も、新たに描いてもらった作品を飾っていく予定です。
その発想がとても素敵です。見ているだけで、心がふっと和みます。

会議室の名前は、それぞれのコンセプトに合わせて付けています。こちらの部屋は「gallery」という名前です。

「gallery」では、東京や宮崎の過去オフィスの写真を展示しています。積み木モチーフのサインやインテリア、植物などの温もりある要素は、宮崎宮城のメンバーからも好評なんですよ。
新しく加わったメンバーにとっても、「過去のオフィスがあって、いまがある」ということを感じられる、素敵なきっかけになりそうです。
偶発的なコミュニケーションを生む、コドモンならではの執務室

現オフィスでは、フリーアドレスやファミレス席を取り入れ、デスクも縦横に入り交じるよう配置しています。歩いているだけで他部署のメンバーと目が合い、自然と会話が生まれるような環境をつくりました。

宮崎のメンバーからも、「執務室の広々とした空間が印象的だった」という声がありました。誰がどこにいるか一目でわかるので、以前よりも物理的にも風通しがよくなったと感じます。

部署ごとの業務内容に合わせた工夫もしています。たとえば、インサイドセールスやカスタマーサクセス向けの電話対応スペース(フォンブース)や、開発部のペアプログラミング用のエリアなど、業務や気分に合わせて働く場所を選べるつくりになっています。

メンバーの方にとって、電話に集中できる環境があるのは大きいですよね。
そうですね。電話対応スペースは8台あり、現状では出社しているメンバーに対してほぼ足りている台数です。連続して商談が入っているメンバーも、安心して長時間利用できています。また、「04」と記されたスペースには、向かい合った形のソファ席を設けました。電話商談はもちろん、防音性が高いので、人事に関する重要な話なども安心してできるようにしています。
そういった細やかな配慮に、コドモンさんらしさを感じます。

先ほどお話しした“デスクを縦横に混ぜた配置”はこんな感じです。
実際に、その配置から偶発的な対話は、どのように生まれているのでしょうか。
私の場合、執務室の一番奥の方に自席があるんですね。なので出社すると、CS(カスタマーサクセス)→FS(普及推進部)→BD(事業開発部)の島を通って自席に向かうのですが、その道すがらで自然にいろんな人と話す機会が生まれるんです。ただ歩いているだけなのに、さまざまなメンバーと多様な話題でコミュニケーションを取ることができる。まさに、目指していた「偶発的な対話」を日々実感しています。
そういった、たわいもない会話こそ、信頼関係を育む大切な時間ですね。

こちらは?
これはサントリーさんのシステムで、出社した社員2人が専用カードをかざすと、週4回まで無料で好きな飲み物をもらえる仕組みになっています。

気分を変えたいときは、自席ではなく棚の上にパソコンを置いて作業することもありますよ。
私はその棚、ちょっと高すぎるんですけどね(笑)。でもオフィス内には他にも、高さの違う棚やカウンターテーブルがあるので、その日の体調や気分に合わせて働く場所を選べるようになっています。
腰が痛い、集中できない、など日によっていろいろありますもんね。

こちらにも素敵な空間を見つけました。
ホワイトボードスペースですね。アイデアを一気に書き出したいときや、誰かとシェアしたいときに自由に使える場所です。

こちらのソファもとてもおしゃれで、まるでカフェに来たような気分になります。
実はこのソファは旧オフィスから持ってきたものなんです。色やサイズが合わないかもしれないと思っていたんですが、置いてみたら意外としっくりきました。
他にも、旧オフィスで使っていた家具や家電をいくつか引き続き活用しています。実は執務室の椅子も旧オフィスから運びました。
そうなんですか!どれも空間に馴染んでいて驚きました。

こちらは個人用ロッカーです。先ほどもお話ししましたが、物が外に出ていたり、管理が煩雑になることで、空間全体が乱れてしまうため、ロッカーの設置も継続しました。

オフィスから転用したこちらの棚を活用し、パンフレットなどの資料を「見える収納」として整理しています。この棚は、パンフレットをよく使う部署のメンバーの近くに配置されており、実際に使うメンバーが整理整頓を行い、常にきれいに保ってくれています。これにより、どこに何があるかが一目でわかり、スムーズな業務運営が可能になっています。
棚の上で、ちょっとした作業や資料の確認もスムーズにできそうですね。

執務室のど真ん中に突如現れたこちらの空間は…「chanoma」?

はい、ここは社内で唯一の畳の会議室です。
木の温もりだけでなく、畳の温もりまで感じられるなんて。オフィスにいながら、ちょっと贅沢な気分になりますね。たとえば「コドモンのおごり自販機」で同僚の方と飲み物を用意してから、「chanoma」で会議、という流れもなんだかいいですね。
そんな使い方もあるかもしれませんね。実際、私たちの想像を超えるようなところで、偶発的なコミュニケーションが生まれるようになってきていて。出社時に他部署のメンバーと自然に話す機会が増えた、という声も多く聞かれるようになりました。課題として感じていた部分が解消できて、本当にうれしく思っています。
子どもたちのために、豊かな社会インフラを

従業員数約60名だった5年前と比べ、現在のコドモンは約350名へと大きく組織を拡大しています。
「メンバーは増やしすぎないという方針ではあるものの、じゃあその中で今後どういった働き方が『その時のコドモンメンバーにとってベストなのか』は、その都度見直していく必要がある」
その言葉の奥には、一人ひとりの働き方に丁寧に向き合おうとする姿勢がにじんでいました。
さらに、「これからも子どもを主役にしたサービスを届け続け、豊かな社会インフラを築いていきたい」と語る表情には、子どもたちの未来を明るく照らそうとする決意が込められているようでした。