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- オフィスインタビュー
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縦型ドラマを効率的&クリエイティブに制作できる環境を!GOKKOのオフィス見学ツアー

YouTubeやTikTokなど、縦型動画プラットフォームに投稿するドラマ作品作りを手掛ける株式会社GOKKO。お台場エリアに新たに作ったオフィスは、ドラマ制作が効率的にはかどることを念頭に置いて作られたオフィスです。撮影スタジオも併設されているユニークなオフィスを見学させていただきました。

座右の銘:正しい人生より、楽しい人生を
アントレプレナー(3社目)ビズリーチ、セプテーニ、ファベルカンパニーと上場前から上場後まで、事業責任者、採用責任者などを歴任。社会人したり、飲食店やったり、起業して借金してみたり。法政大学卒。サッカーで全国大会に4回出場していることが一番の自慢。

10年以上美容師として美容室の経営を行いながら、その後アプリエンジニアに転職するなど異色の経歴を持つ。現在は株式会社GOKKOのCOO兼統括プロデューサーとして脚本・撮影・編集を手掛け、500本以上のバズるショートドラマを世に送り出す。デジタルハリウッド大学の教師でもあり、ショート動画を中心とした最新の配信ビジネスや映像演習の講義も持つ。
目次
オフィスに撮影スタジオを併設することで、効率的な制作を実現
まずは御社についてご紹介をお願いいたします。
弊社は縦型ショート動画プラットフォーム向けのドラマを作っている会社で、企業のブランディング、プロモーションを目的としたドラマを作り、お客様に販売しています。始まりはクリエイターチーム「ごっこ倶楽部」で、今は正社員で80名規模となっています。
この会議室から見えるフリースペースで撮影されている様子がうかがえました。
オフィスも撮影スポットなんですよ。このオフィスは執務エリアや会議室、フリースペースがあるこの場所と、スタジオが並ぶ場所との大きく2エリアに分かれているんですが、スタジオ以外の場所も撮影スポットとして活用できるよう作りました。
こちらのオフィスに移転される前から、自社オフィスにスタジオを設けてきたんですか?

スタジオはありましたが、オフィスと同じ敷地内にあったわけではありませんでした。そもそも、最初はオフィスがなかったんです。一軒家に住み込む形での入居が最初で、そこを出なければならなくなったタイミングでオフィスとハウススタジオを借りました。このとき、オフィスとスタジオが徒歩15分くらいの距離で、「ちょっとこれは機能しないな」と実感したんですよね。
片道15分、頻繁に行き来するのはおっくうな距離ですね。
重いものを運ばなければならないときもありますしね。そこから、徒歩2分のところを借りられたことで、近いことによるメリットを感じました。じゃあ、次は併設がいいなと。そこでこちらに移転してきたという経緯です。前のオフィスはすでに全員が集まれるキャパシティではなかったので、広さも必要でした。採用で人を増やしていくフェーズにあるので、今後も見据えての移転でしたね。
働き方は出社スタイルなんですか?
いえ、リモートも推奨してはいるんです。会社として1番お金をかけたいのはコンテンツ制作部分であって、正直なところオフィスにはあまりコストをかけたいわけではないので。ただ一方で、クリエイティブな仕事をする社員たちが働きやすい環境は整えておきたいと思っています。そのため、今回のオフィスは昼寝や仮眠が取れるスペースがありますし、ビル内にあるシャワースペースも使わせていただける契約になっています。
ドラマの内容によって、撮影時間が早朝や夜になることがあるんですよ。その場合、社員によっては会社に泊まる人もいるので、その環境を整えたいなと。

寝られるスペースやシャワー設備は、テレビ局では一般的に備えられているものです。まったく同じようにとまではいかないかもしれませんが、ドラマ制作をする会社として、少しでもそんな環境に近づけられるようにしたいなと考えました。
今回の移転にあたって、設備面だけでなく、会社のリブランディングも行いました。これまでは「ごっこ倶楽部」をフロントに立たせてきたのですが、今回は「GOKKO」という会社を打ち出して、世界観も設計し直したんです。エントランスにはそうしたメッセージを詰め込んでいます。スタジオエリアにはオープンスペースもあるのですが、そちらも「GOKKOとしてどういう形を作っていきたいか」という想いを表して作りました。ぜひご覧いただきたいです。
では、さっそく拝見させてください!
オフィスであり、撮影場。GOKKOのオフィス見学ツアー
「映像制作をするクリエイターチーム」として、クリエイティブな仕事に邁進できるオフィスを。さっそく撮影エリアから見学させていただきました。
スタジオエリア 印象的なエントランス

こちらがスタジオエリアのエントランスです。「クリエイティブを生み出し続けるクリエイターチームでありたい」という想いを込めて、エントランスから奥のオープンスペースにかけては、映画館のロビーをイメージしたデザインに仕立てました
非常に印象的です。
材質にもこだわっていまして、実は真正面の壁とその左右の壁の素材が違うんですよ。板壁と、左官の壁になっているんです。

撮影は「影」を「撮る」と書きます。真っ暗な中で、ひとつの被写体に光を当てて映す。そのひとつの作品の縁の下の影には、たくさんの陰の立役者たちがいる——そんな想いを込めて、材質を変えていただきました。では、中に進みましょう。スリッパに履き替えてください。

これは……映画館ですね!すごい!
キャストさんの休憩場所でもあり、待機場所でもあります。映像も見られる場所として作ってもらいました。わくわくしながら映画を待つような、高揚感のあるスペースにできたかなと思っています。

カラフルなポップコーンまで並んでいますね。芸が細かい……。
ポップコーンといえば、その名前を付けた縦型ショートドラマアプリ「POPCORN」をローンチしました。映画を見て感動している横にあるポップコーンのように、感動のすぐ隣にある存在になれるようにと名付けました。

待つ場所に置くソファやテーブルにもこだわりました。高級映画館で知られる109シネマズプレミアム新宿をモチーフに、リッチな空間に仕上げています。
このスペースを中心に、左右に7、8室のスタジオが並んでいます。ぜひご覧ください。
縦型ドラマならではの工夫がユニーク。スタジオスペース


こちらはアパートメントですね。

名前の通り、アパートの一室ですね。
おもしろいのは、この隣なんです。ちょっと待ってくださいね。

二重の間仕切りを開けていきます


隣のスタジオとつながっているんですね!ちょっと……不思議な雰囲気になりますね。
隣の部屋は「SUSHI」です。寿司屋や居酒屋の撮影に使える部屋ですね。

頻繁に使う部屋は壁で仕切られている部屋をあてがっているんですが、撮影が重なりづらい部屋は、こうして仕切ることで2つのシーンで使えるように作っています。

おもしろいです。スタジオを見ているだけでもわくわくしますね。

こちらはOFFICEですね。


壁の色やテーブルの色が揃ってはいないんですね。
これも撮影のバリエーションを増やすためですね。
縦型ドラマは、通常の横型動画とは異なり、人物の後ろに映り込む背景が少ないという特徴があります。そのため、狭い空間でいろいろなセットを用意しても、互いが干渉し合わないんですよ。「ここだけ」と映る場所を制限して撮影できるので、あえていろいろなオフィスを用意しているんです。
なるほど……!

こちらは大学や高校の部屋ですね。


学校系のドラマは廊下での撮影シーンもあるので、廊下も作りこんでいます。小中学校の部屋もありますよ。


かわいい!リアルですね。






こちらはお店、コンビニですね。

広く見るとリアル度が低いかもしれませんが、縦型に切り取ると、ちゃんとコンビニにいるように撮影できるんです。

男性用、女性用の一人暮らしの部屋もあります。






扉はちょっと高級感のある素材にしています。ホテルの部屋の入口という設定でも撮影できる仕様なんです。

BOSS……ここは何の部屋ですか?
社長室ですね。

社長室のシーンや、ヤクザの事務所のシーンで使える部屋です。
確かにどちらも重厚感がありますね。


わ、バーですね!
こちらの空間も、撮影のアングルによって異なるシーンを演出できるようになっています。カウンタースペースは実際のバーよりも通路を広めに設計していて、これはカメラマンがスムーズに動けるようにするための工夫なんです。


切り取り方でバーにいるのかレストランにいるのか、雰囲気が変わるのがおもしろいです。



ここは病院です。

最後がこちらですね。バスルームです。


この横に見える壁は可動式で、撮影に応じて壁として使えるようになっています。


洗い場がかなり広いです。
スタジオならではの設計ですね。撮影スタッフが中に入って動けるよう、広めに作っているんです。お手洗いも同じく、ゆとりを持たせていますよ。

車いすの方用のお手洗いみたいですね。
会議室もソファスペースも撮影に使用可。執務エリア

先ほどもお話したように、執務エリアのスペースも撮影に使えることを念頭において作っています。

奥でちょうど撮影していますね。

実は、会議室名が気になっていました。
映画名から名付けています。その作品に合わせた内装にしているんですよ。


会議室のモニターは、縦に動かせる仕様になっています。作っているものが縦型ドラマですからね。



こちらがスターウォーズですね。「ぽい」なと思います。

ちゃんと書体にもこだわっているんですよ。
わ、本当ですね!


こちらが仮眠に使える部屋の一部です。オープンスペースの窓際にもありますが、こちらは完全に部屋が分かれているので、よりしっかり休みたいときに使えます。
寝やすいです。
景色がとにかくいいですよね。

そうなんです。これまでは、チームで集中して作業に取り組むことを目的とした、ワーケーションを取り入れてきました。今回のオフィスでは、設備や広さを活かして、気分に合わせて作業できるスペースをいくつも用意しています。窓からの景色を眺めながらリフレッシュできるような場所もあって、ある意味ここも、ひとつの“ワーケーション空間”になっているなと感じます。
「リモートでいいよ」と伝えていますが、思っていた以上に出社してくる社員が多いですね。出社したほうが楽しいと思ってくれているのであれば、良いことだなと思います。実際、移転してから出社率はかなり上がりました。福利厚生として引っ越し手当を支給しているので、近隣に住むメンバーが増えたことも関係しているのかもしれません。
2030年までに「撮影村」を作りたい

「2025年は大型撮影を進めていく。メンバーも増やし、作品数も増やしていく」と語ってくれた志村さん。田中さんは、さらに1企業の取り組みを飛び越え、さらに大きなビジョンを語ってくださいました。
「日本の映像制作環境に危機感を覚えています。3年撮影し続けてきて実感したのは、クリエイティブに没頭できる環境づくりの重要さです。長時間労働を強いるのではなく、いかに生産効率を上げていくか。海外では、12時間ずつの2交代制で24時間体制の撮影が進んでいる例もありますが、日本ではまだそのような世界基準の発想が根づいていません。やりがい搾取になってしまっている構造を、まずは自分たちから改善していかなければと思っています」
オフィス、そして撮影スタジオの次の野望について、田中さんは「2、3年後に『映画村』のような『撮影村』を作ること」だと意気込みます。
「すでにパートナーを探し始めています。このままだと、同じようなキャストで同じような映画ばかりになってしまいますから。そうして映画が減り、観たい映画が少なくなってきている現状の打破を、撮影できる環境を整えることで実現したいんです。自分たちが使うだけでなく、他の制作者たちにも開放したい。そして一般の方々にも見学してもらえるような、開かれた空間にしたい。
人が集まり、お金が動く。そんな、新しい形の面白い取り組みになるんじゃないかと思うんですよね。ぜひ、2030年までにはやり切りたいです」
自社のクリエイティブの取り組みから視野を広げ、映像制作業界の課題改善にも目を向けるGOKKO。お台場エリアに「撮影村」が実現する日が楽しみです。