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vol.291 ミツイワ株式会社

お客様を招いてのオフィスツアーも可能に!社員が仕事をしやすい環境を考えて実現した「コミュニケーションHUB」ミツイワ大崎オフィスの見学ツアー

ミツイワ株式会社

1964年に創業した老舗のIT企業、ミツイワ株式会社。関東だけでも多くの拠点を有する企業です。今回は、そのなかでも新しい、住友不動産大崎ツインビル東館にある大崎オフィスの見学ツアーを実施。大崎オフィスのレイアウトを担当した大矢さんにお話を伺いました。

大矢浩生
インタビュー
大矢浩生
ミツイワ株式会社

マネージドサービス企画室の室長として、パートナー企業とのコラボレーション企画を推進しつつ、「ABW Create」にも積極的に取り組んでいます。大崎オフィスのデザインやインフラ設計、什器選定などを担当し、大崎オフィス移転プロジェクトで培った課題解決の経験を活かしたソリューション提案や成長企業のオフィスリニューアル支援も行っています。

「働く空間の創造」会社の中期経営計画の方針に沿い、社員の働き方を変える大きなテーマとして、オフィス移転を考えた
中期経営計画「人を活かす経営」に基づき、HUBとして交流が生まれるオフィス創りで従業員エンゲージメント向上へ

卯岡(IBASHO.ライター) :

御社についてご紹介をお願いします。

大矢さん :

ミツイワは、1964年に渋谷で創業した歴史あるIT企業です。ICTシステムとデバイスソリューションの2つの領域を軸として、長年にわたって技術とノウハウを蓄積してきました。

近年は、IoT・AI・ロボティクスといった先進技術にも積極的に取り組んでいて、そうしたデジタルソリューションと、お客様にしっかり寄り添う高品質なサポートサービスの両面から価値を提供しています。

企画やコンサルティングから、システムの構築、運用・保守までトータルで対応できる体制が整っているので、お客様のビジネスの変革や成長を、技術と知見の両面からしっかり支えていける。そんな会社です。

卯岡 :

こちらのオフィスは、最近、新たに移転されてきたものだそうですね。

大矢さん :

そうなんです。関東圏にいくつかオフィスがあるのですが、それらを統廃合させながら、大崎への移転計画を実施しました。

卯岡 :

移転理由は何だったのでしょうか。

大矢さん :

移転の背景には、中期3か年経営計画の柱である「人を活かす経営」の実現があります。

社員が安心して働けて、自分の能力を最大限に発揮できる環境づくりが求められており、その具体的な施策の一つがオフィスリニューアル計画でした。

これまでのオフィスも一定の役割は果たしてきましたが、柔軟な働き方や多様性への対応には限界があり、より快適で主体的に働ける環境が必要でした。また、渋谷地区に3拠点、品川にも拠点があるというロケーションの課題や、社員数の増加によるスペース不足も顕著になっていました。

こうした状況を踏まえ、中期計画初年度という節目のタイミングで、「働き方改革」の一環として実施されたのが今回の大崎へのオフィス移転です。

卯岡 :

大矢さんはオフィス移転にどういったお立場で関わられたのですか?

大矢さん :

今回の移転プロジェクトでは、主にオフィスレイアウトを担いました。以前、名古屋でのオフィスリニューアルの経験もあり、今回のプロジェクトが立ち上がった際、「このプロジェクトのリーダーとして牽引してほしい」と声をかけていただきました。

もともと、何かを形にしていくことは好きなのですが、正直、移転や不動産に関する専門知識はありませんでした。ですので、仲介会社の皆さまからご指導をいただきながら、実務を通じて多くを学ばせていただきました。

卯岡 :

内装づくりは、どのようにして進めていかれたのでしょうか。

大矢さん :

主要メンバーは私を含めて3人でスタートしました。課題は、いかに多くの社員の意見を、オフィスレイアウトのデザインにまとめられるかでした。

そこで移転の目的を明確にし、誰もがイメージを持てるコンセプトを考え発信しました。そのコンセプトが「繋がる未来、自由な発想と喜びの空間:コミュニケーションHUB大崎」でした。

卯岡 :

そうだったんですね。最初に、このコンセプトの発信をされたのですね。その後スムーズにいきましたか?

大矢さん :

そうですね、できる限り多くの方の意見を効率よく収集するために、関係する部門から30人を代表として選抜し、意見を集約する方法をとりました。

参加部門の間では実際、意見が分かれる場面もありました。しかし,最初にコンセプトを決めておいたお陰でお互いの共通点も多く見出し比較的スムーズに合意形成できました。

今回のプロジェクトは本当に限られた期間で遂行しなければいけなかったのですが、結果予定通りスケジュール通りにできました。

卯岡 :

どれぐらいの期間だったんですか?

大矢さん :

移転までの期間を考えると、ほとんどの決定事項をプロジェクトマネージャーとして2カ月半の短いスケジュールで決める必要があり、また総勢450名の移転を先程のテーマに沿って実現することが必要でした。

卯岡 :

先ほどスムーズに合意形成できたと仰っていましたが実際、様々な意見や要望が出ていたのではないでしょうか。どのように意見をまとめたのでしょうか?

大矢さん :

意見の方向性が定まらなくなるとコンセプトの「繋がる未来、自由な発想と喜びの空間」に立ち戻ることを繰り返しました。

具体的には、コンセプトを解釈し形にすることを繰り返し導いていき、これを落とし込んでいくと、つながる未来とは・・・部門組織の壁を無くし、若手もベテランも未来に対し夢を語れる空間となり、当たり前のことですがフリーアドレス化や自由に利用できるスペース、日々の動線の中でもコミュニケーションがとれるデザインを目指したわけです。

意見としては「昇降テーブルがほしい」とか、「運動ができる環境がほしい」「腰痛対策の椅子がほしい」「椅子のひじ掛けがほしい」などですね。ただ、もちろん却下したものもあります。価格的に難しかった案もあります。

「雲梯(うんてい)を入れたい」と考えていたのですが、調べてみたら、高額で。さすがに無理でした(笑)

卯岡 :

そうだったんですね。先ほどお話のあったコンセプト「繋がる未来、自由な発想と喜びの空間」に反映されていかれたのですね。

大矢さん :

現在ご見学いただける11階は、エンジニア部門、デバイスソリューション部門、デジタルビジネス部門など、さまざまなセクションの社員が同じフロアで働ける構成とし、部門間の垣根を越えて自然なコミュニケーションが生まれる環境づくりを意識しました。

また、営業部門は現在、本社である渋谷オフィスに在籍していますが、必要に応じて立ち寄れるよう、このフロアにも席を用意し、サテライトオフィスとして活用できる設計としています。たとえば会議室の利用などで訪れた際に、技術メンバーとの会話や情報交換が自然に生まれることを想定しており、本フロアが部門を越えた連携を促す“コミュニケーションHUB”として機能することを期待しています。

卯岡 :

稼働し始めてみて、いかがですか?

大矢さん :

働き方が変わったように思います。

通常渋谷の営業オフィスで働いている人などが、駅から少し距離のある大崎オフィスに来ることが多く感じました。聞いてみると、「本当に仕事がしやすくなった」という意見でした。

また、技術の部門との交流が増え、仕事を進める上でのシナジー効果もあり、仕事のしやすい環境が作れ、各本部の垣根が取れてコミュニケーションの機会が増え、仕事も円滑に進むようになったと思います。お客様やパートナーの方からも好評で、社員が気持ちよく効率的に仕事ができる環境となり、エンゲージメント向上にもつながっていると感じています。

卯岡 :

その要因は何でしょう。

大矢さん :

ひとつ言えるのは、やはり社員同士のコミュニケーションが高まったことではないでしょうか、もちろん一人ひとりのパーソナルスペースを作ったことも要因ですがね……(笑)

パーソナルスペースが広めということで、机も広く使えますしね。その他、業務上では直接関わりのない本部間でも、毎日顔を合わせていれば、互いの仕事に関心が湧いてくれればという想いがありました。

あとは「やりたい環境で仕事ができる場」を目指しました。後々知ったのですが、こういう考え方でのオフィス作りを「ABW」と呼ぶそうですね。

※ABW(Activity Based Working)とは、その時々の仕事の内容に合わせて、働く場所を自由に選択する働き方

卯岡 :

ABWを導入されている企業さんはいらっしゃいますが、御社の場合は違ったんですね。

大矢さん :

そうなんです。やりたいこと、こうあるべきだと考えることを体現した結果が、ABWに近かったようで。言葉自体はつい最近知ったところなのです。

私がやったのは、みんなの仕事ぶりを見ていて「こうしないと便利にならないよね」という判断です。たとえば、個室ブースや会議室の数の確保、サウンドソファ、カフェブースの設置などですね。一般職と管理職、中堅と新人といった具合に区分けをし、彼らが1日のなかでどれぐらい電話やWeb会議をしているのか、人数比も考えて計算しました。

大矢さん :

あとは部門長に依頼して出社率も調べました。コアタイムがどうしても被ることから、時間帯によっては少し不足気味ではあるのですが……。あとは、モニターに繋ぐだけで給電できる仕組みも導入しています。

今回の大崎の移転をきっかけに、ミツイワのオフィスの在り方が見つかったように思います。

今後も各拠点の移転やレイアウト変更が予定されていますので、この経験を活かして大崎モデルとして全国の拠点に反映していきたいと思います。

卯岡 :

先ほど、このフロアは外部の方をご案内されているというお話があったように、御社ではオフィスツアーも行ってらっしゃるそうですね。

大矢さん :

当初からツアーをやろうと考えていたわけではないのですが、かなり反応がいいですね。移転やレイアウト変更を考えられているお客さんがお越しになって、そこからさまざまなビジネスにつながったケースも出てきています。

卯岡 :

素晴らしいですね!

「結果的にABW」に近づいた働きやすいオフィス。ミツイワ 大崎オフィスを見学!

「繋がる未来、自由な発想と喜びの空間」をコンセプトにしたミツイワのオフィス。見学ツアー、スタートです!

オフィスツアーも実施中。11階

メインフロアとなる11階には、執務エリア、フリーエリア、会議室エリア、セミナールーム、ラウンジ休憩スペースなどがあります。

棚には製品がずらり。ショールームとしての機能も果たせるようになっています。

卯岡 :

「パーソナルスペースが広い」とおっしゃられていたのがよくわかります。広々としていますね!

大矢さん :

1,800mmあるのがベースですから、感覚的に相当余裕があると思います。

卯岡 :

あちこちにインテリア的なアイテムも飾られているのがいいですね。

大矢さん :

私が作りました(笑)

突き抜けているように見えて、実は棚板の上下で分けて作ったものを繋がるように見せて置いているというロケット
大矢さん :

まだまだいろいろと置けるスペースが余っています。

Web会議スペースは1人用のほか、2人で使える少し広めのものもあります
大矢さん :

このテーブルはホワイトボードとしても使えるのですよ。今お見せしましょう。

卯岡 :

おお!

大矢さん :

同じタイプの席がもう1つあるので、片方が使われていないときは、片方のテーブルをホワイトボードとして使いながら、片方はテーブルとして使うという使い方もできます。便利な製品ですよね。ただ、ペンを置く場所がないのが難点だったのです。

大矢さん :

そこで、裏側にこうして付けられるようにアレンジしました。上げたときにも下げたときにも落ちないので便利です。

卯岡 :

ナイスアイディアですね!

ミツイワ株式会社
こちらは社員の居場所を把握するためのQRコードだそう
ミツイワ株式会社
ミツイワ株式会社
卯岡 :

本当にあちこちにいろいろなスペースがありますね。

ミツイワ株式会社
ミツイワ株式会社
大矢さん :

こちらは営業の打ち合わせに使われているソファ席ですね。モニターからの音が聞こえやすく、音漏れしづらい仕組みになっているものです。

ミツイワ株式会社
窓際には集中できそうなこんな席も
ミツイワ株式会社
不要時には跳ね上げられる仕組みの椅子です
ミツイワ株式会社
大矢さん :

こちらはデジタルサイネージです。ペーパーレスのために導入しました。

ミツイワ株式会社
掲示物を貼る代わりに、デジタルサイネージに映し出されるようになっています
ミツイワ株式会社
大矢さんがお気に入りだという時計

倉庫・作業場として活用中。10階

10階には、倉庫として使えるスペースがあります。こちらも見学させていただきました。

ミツイワ株式会社
大矢さん :

手動用のリフターとパレットを導入し、高さを活かし物をたくさん管理できるようにしました。

ミツイワ株式会社
インストールや修理など、作業もできるようになっています
ミツイワ株式会社
大矢さん :

ここは現場でCEといわれるコンピューターを修理する部隊や、サービス営業メンバーの在庫品などを管理する場所です。この倉庫エリアを効率的に使える形にするために悩みました。

これからも細かな改善を実施し、他拠点の移転計画も進行中です。

ミツイワ株式会社

「噂レベルのものも含め、移転後に社員からオフィスに関するクレームが1件もなく、一番クレームを出しているのが私です(笑)。とりあえずは満足してもらえたのかなと思っています」と茶目っ気たっぷりに語ってくださった大矢さん。会議室の天井の防音、Web会議の利便性向上など、「もっとこうしたい」ところがいろいろあるといいます。オフィスツアーを通し、お客様の課題を知り、解決できる提案力も磨いていきたいと語ってくださいました。

また、大阪や横浜など、まだまだ移転計画もあるそうですね。そのなかには、大矢さんが関わる予定のものもあります。

「対外的に見せられるオフィスは、人財の採用にも関係してきます。これからも『見せるオフィス』づくりに挑戦していきたいです」(大矢さん)

取材先

ミツイワ株式会社

https://www.mitsuiwa.co.jp/ 公式サイト

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