IBASHO 「はたらく」を支えるオフィス運用のライブラリ

お問い合わせ
働き方・キャリア

ファシリティマネジメントとは?総務の役割を「管理」から「戦略」へ変える重要性

  • #FM
  • #ファシリティマネジメント

ファシリティマネジメントは、単なるオフィス管理ではなく、企業価値を高めるための戦略的な取り組みです。

本記事では、ファシリティマネジメントの定義や重要性、企業にもたらす価値、そしてファシリティマネージャーの具体的な取り組みを解説していきます。

「ファシリティマネジメント」とは

ファシリティマネジメントの定義

ファシリティマネジメントとは、土地・建物・設備などの施設資産(ファシリティ)とその環境を、経営の視点から総合的に企画・管理・活用する活動です。単なる「施設の維持管理」に留まらず、施設資産を重要な経営資源として最適化し、企業価値を最大化させる戦略的な取り組みを指します。

ファシリティマネジメントの目的

ファシリティマネジメントの目的は、オフィスを単なる「作業場所」から「価値創造の拠点」へと変革することにあります。コスト抑制を主眼とした従来の管理手法から脱却し、働く環境を生産性向上や経営戦略に直結する「投資」として捉え直すことで、企業の競争力を高めることを目指します。

なぜ、ファシリティマネジメントが重要なのか?

働き方改革と多様な価値観への対応 

働き方改革や多様化する従業員の価値観に伴い、快適かつ柔軟なワークプレイスの構築が不可欠となっているためです。特に、コロナ禍を経てテレワークとオフィス出社を組み合わせたハイブリッドワークが定着した現在、多様なスタイルを支える柔軟なオフィス環境の整備は、企業にとって喫緊の課題といえます。

総務の役割変化と戦略的価値 

総務部門が従来の「受動的なサポート業務」から脱却し、経営視点に立ったファシリティマネジメントを推進することが、直接的な企業成長に直結するためです。これまでは他部署をサポートする印象が強い部署でしたが、今後は経営戦略に即した資産活用や環境構築を主導することが求められます。

環境配慮とテクノロジー活用への期待 

環境負荷の低減や最新テクノロジーの導入が、企業の社会的責任と競争力を左右する時代になっているためです。省エネルギー対策や、IoTを活用したスマートビル技術の導入といった、持続可能な経営基盤を構築するうえで、ファシリティマネジメントは極めて重要な役割を担っています。

ファシリティマネジメントが企業にもたらす価値

1.経営基盤の強化

設備やシステムの見直しによる効率化や生産性向上は、ファシリティマネジメントの出発点にすぎません。そこから得られるデータや知見は、経営資源を戦略的に活用するための強固な基盤を築きます。ファシリティマネジメントは人事・情シス・財務と並ぶ4つの経営基盤の一つとして位置づけられており、企業の持続的成長を支える重要な役割を担っています。

2.企業価値への多角的な貢献

ファシリティマネジメントは、単なるコスト削減に留まらない多面的な価値を創出します。

社会的責任の遂行とブランド価値の向上

省エネルギー設備の導入や廃棄物削減、バリアフリー化などの取り組みは、環境・社会への責任を果たすことと同義です。こうした持続可能な経営姿勢は、社会的な信頼を高め、中長期的な企業価値の向上に直結します。

事業継続計画(BCP)の実効性確保

災害やシステム障害などの緊急事態において、中核事業を維持・早期復旧させるための体制を構築します。バックアップ電源の設置や拠点の分散、耐震補強といった物理的対策を通じて、企業の危機管理能力を強固なものにします。

人材戦略の最適化

多様な働き方を許容する柔軟なワークプレイスは、優秀な人材の確保と定着を左右する重要な要素です。機能的かつ快適な労働環境の提供は、従業員のエンゲージメントを高め、組織全体の競争力強化に貢献します。

ファシリティマネージャーの具体的な取り組み

ファシリティマネージャーの業務は多岐にわたりますが、主に以下の4つの領域に集約されます。

1.オフィス戦略の立案・実行

経営目標と連動した「中長期的な施設投資計画」の策定を担います。事業拡大に伴うオフィスの移転や拡張、拠点の統廃合といった重要な意思決定をサポートするほか、賃貸借契約の条件等も最適化します。

2.働き方に合わせた環境設計

多様な働き方に対応した環境を設計し、従業員の生産性を最大化させます。具体的には、ハイブリッドワークやABWの導入など、柔軟なオフィス設計を通じて設備や環境を最適化します。さらに、物理的な整備に留まらず、新しい働き方を組織に定着させるためのルール作りや意識改革を主導するのも重要な職務です。人事部と共同で進めていくこともあります。

3.管理・運営の高度化

日々の施設運営において、安全性と快適性を維持するための統括管理を行います。清掃、警備、設備保守といった委託業務の品質を適正にコントロールするほか、IoTやスマートビル技術などの最新テクノロジーを導入することで、エネルギー効率の向上や空間利用データの分析による運営の高度化を図ります。

4.持続可能性と安全の確保

カーボンニュートラルに向けた省エネ対策や廃棄物削減に取り組み、環境負荷の低減と経済性の両立を目指します。同時に、災害や感染症などの緊急事態を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、バックアップ拠点の確保や耐震対策といった物理的基盤を整備することで、予期せぬリスクから企業を守る防波堤としての役割を果たします。

必要とされるスキル・素質

ファシリティマネージャーは、経営層・従業員・外部パートナーを繋ぐ要として、多角的な専門能力を発揮しなければなりません。それを果たすための基盤となる主要なスキルを解説します。

高度なコミュニケーション・調整力

経営層から従業員、外部業者まで、多様な関係者と円滑に意思疎通を図る能力です。それぞれの立場を理解して意見をまとめ、信頼関係を築きながらプロジェクトを推進する力が求められます。

戦略的計画力とマネジメント能力

予算・リソース・スケジュールの管理など、プロジェクトを効率的に遂行するスキルです。常にPDCAサイクルを回し、限られた経営資源のなかで優先順位を判断しながら、継続的な改善を図る力が重要となります。

広範な専門知識と法令遵守

建築、不動産、設備機器に関する広範な知識に加え、建築基準法や消防法などの関連法令を深く理解している必要があります。これらの知識は、安全な施設維持や適切な修繕計画を立てるための土台となります。

データ活用能力とDXへの対応

施設の利用状況やコストを分析し、客観的なデータに基づいて経営判断を支える能力です。最新のDXを導入し、業務の効率化や自動化を積極的に推進するスキルも不可欠です。

まとめ

ファシリティマネジメントは、単なる維持管理やコスト削減に留まりません。土地、建物、設備を経営資源として捉え、その価値を最大化させる戦略的な活動です。

ハイブリッドワークの普及や脱炭素への対応など経営環境が激変するいま、ファシリティマネジメントの重要性はかつてないほど高まっています。物理的な環境を最適化することは、「はたらく人」のパフォーマンスを引き出し、企業の持続的な成長を支える強固な基盤となります。

これからのファシリティ担当者には、専門知識に加え、経営的視点とデータに基づき変革を主導する力が求められます。自社のファシリティが持つ可能性を再定義し、未来に向けた価値創造の一歩を踏み出しましょう。