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初期費用を削減できる居抜きオフィスとは?注意するポイントも紹介

手間とコストを最小限に抑えることができるとされている「居抜き物件」。よく、全店舗の雰囲気をそのまま残してリニューアルオープンするカフェなどがありますが、実は、居抜き物件のオフィスも存在しています。

今回は、そんな「居抜きオフィス」とは一体なんなのか、居抜き物件を利用するメリットとデメリットもご紹介していきます。借りる際の注意点も紹介するので、居抜きオフィスを検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

2020年12月21日
text by 寅田 匠輝

この記事を読むのに必要な時間は約 17 分です。

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居抜き物件の賃貸オフィスとは?

 

 

テナント募集などで良く目にする「居抜き」。費用が安い、前の物件の物がある、などといったイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

 

居抜き物件には、飲食店などのテナントだけでなく、オフィスもあります。居抜きのオフィス物件を探す前に、まずは居抜き物件とは何か知っておくことが大切です。

 

そもそも居抜き物件とは

 

居抜き物件とは、一言で表すと内装付きの物件のことです。
前のテナントや会社による内装や設備などが残っている状態で物件を売り渡したり貸し出したりすること自体を居抜きと言います。
居抜き物件のオフィスは、机やイスなどが残されている場合もあり、新たに家具を揃えなくてもいい場合があります。
居抜き物件には「主要設備全てが残っている」ものと「内装の一部だけが残っている」というものの2パターンがあるので、後者の場合は入居後すぐに業務を開始できるわけではありません。

 

物件の種類(居抜き物件とスケルトン)について

 

物件には、主に2つの種類があります。一つは、先ほども紹介した居抜き物件、もう一つはスケルトン物件です。スケルトンとは、天井や壁、床、内装などが何もない状態のことで、いわゆるコンクリートの打ちっ放し状のことを言います。居抜き物件とスケルトンの違いは、内装などの有無になります。

 

物件の基本は、借りる時も返す時もスケルトン状態にしておくことが基本。退去時には原状回復工事をしてスケルトン状態にします。しかし、借りる側も返す側も、工事費用が別途必要になるため、そのままの状態で受け渡しができる居抜き物件を利用する企業も多くあります。

 

居抜き物件に必要な造作譲渡契約

 

居抜き物件には、少なくとも一部の内装や備品などが残されています。残っている内装などは全て無償で引き渡してくれるケースもありますが、「残っているものを買い取ってほしい」と言うケースも多いです。そのような時に必要なのが「造作譲渡契約」です。

 

内装や空調などの設備を次に入居する企業が買い取ることになるので、法律上では事業譲渡(営業譲渡)にあたります。そのため、前の会社と借りる会社との間で、「造作譲渡契約」または「資産譲渡契約」を結ばなければならないのです。

 

造作譲渡契約を結ぶ際には、退去する会社と新しく入居する会社同士の話し合いに基づいて備品や設備、内装などの費用が決められます。また、費用に関しては、内装や設備の使用年数や性能ではなく、その物件の集客力や立地などの価値によって設定されます。

 

居抜き物件と事務所仕様どっちがいいの?

 

 

物件は、「居抜き物件」と「スケルトン」が一般的ですが、最近では「事務所仕様」という物件も増えてきています。

 

居抜き物件や事務所仕様には様々なメリットやデメリットがあります。オフィスを決める前に、それぞれの特徴をしっかり把握しておきましょう。

 

居抜き物件を使用するメリットとデメリット

 

内装や、家具、間切り壁などがそのままの状態で売買されるスタイルの「居抜き物件」の場合、少しの手直しで業務を開始できるので、コストが大幅に抑えられるのはなんとなく分かるかと思います。

 

また、オフィス移転で居抜き物件として受け渡す場合も、原状回復費用がかからないため、コストを削減できます。しかし、先ほど紹介した「造作譲渡契約」など、居抜きならではの契約や、問題もあります。

 

では、居抜き物件のオフィスを借りる場合と、居抜き物件として退去する場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。

 

オフィスを借りる場合

 

居抜き物件のオフィスを借りる時のメリットは、以下のとおりです。

 

・入居時のコストを削減できる
・内装工事、レイアウト決めなどの時間や手間を節約できる
・什器や設備などをそのまま利用できる

 

居抜きオフィスは、内装だけでなく、以前の借主が使用していた設備や什器などをそのまま利用できます。什器とは、日常生活用の器具のことで、具体的には机やイスなどの家具のことであり、造作譲渡契約が必要になります。通常に購入するより安く、中には無償で提供するという物件も存在しています。

 

全ての設備や内装が揃っているとは限りませんが、少しの手直しだけで業務を開始できるため、レイアウト決めや内装工事の手続きなど、移転プロジェクトの担当者の負担も減り、コストと時間の削減ができるのが一番の魅力でしょう。

 

オフィスを借りる時のデメリットは以下のとおりです。
・レイアウトが希望通りにいかない
・老朽化や設備、備品の状態が悪い場合がある
・退去時に原状回復工事を引き継ぐ場合がある

 

既存の内装が施されているため、新たにレイアウトをするとなると制限がかかります。既存の内装を少し変えるだけでも、取り壊す必要があり、通常よりも高額になってしまう場合があるので、レイアウトのこだわりが強い場合には不向きでしょう。

 

また、一番問題になりやすいのが「残置物」です。すぐに変更できない内装などは、そのまましっかり残っていますが、机やイスなどといった什器や備品などは、入居当日に「打ち合わせで聞いていたものがない」「壊れている」などと言った問題も少なくありません。

 

オフィスを退去する場合

 

居抜き物件としてオフィスを退去する場合のメリットは、以下のとおりです。

 

・原状回復費用を削減できる
・引き渡し直前まで営業できる

 

居抜き物件は、そのままの状態で引き渡すため「原状回復工事」が必要ありません。原状回復工事にかかる費用は、中規模オフィスで一坪あたり2~5万円、大規模オフィスで5~10万円が相場と言われています。つまり、100坪の大規模オフィスを退去する場合、1,000万円程度の原状回復工事費用が必要ということになります。居抜き物件として受け渡すだけで、これだけの費用を削減できるというわけです。

 

反対に、注意しなければならない点もあります。デメリットは以下のとおりです。

 

・解約予告をなるべく早く出す必要がある
・造作譲渡契約など、次の入居企業との契約をする必要がある

 

物件を居抜き状態で退出したい場合、次に募集する業種が限られてくるため、物件のオーナーは居抜きを嫌がります。次の借り手が見つかっていない状態では、居抜きを受け入れてくれない可能性もあるので、なるべく早めに解約予告を出さなければなりません。最低でも6ヵ月以上前に出すのが一般的です。

 

事務所仕様物件のメリットとデメリット

 

まず、「事務所仕様」とは居抜きと同様で、内装が施されている状態のことですが、これが「事務所」としてすぐに使えるような内装工事に限定されます。純粋に、事務所として使用される場合もありますが、小規模の整骨院やクリニックなども、事務所仕様の物件を使用することが多いです。

 

事務所仕様の物件を借りる時のメリットは、以下のとおりです。

 

・内装工事のコストを削減できる
・入居後すぐに業務を開始できる

 

内装工事費用を削減できるのは、居抜き物件と同様です。居抜き物件と異なるのは、内装が事務所としてすぐに使える状態になっていることです。オフィスとして利用するのであれば、入居してからすぐに業務を開始できるでしょう。

 

デメリットは、こだわりのあるレイアウトを実現しにくいということです。こちらも、居抜き物件と同様のデメリットになります。事務所仕様に原状回復工事がされているため、老朽化などは居抜き物件に比べると心配ありませんが、内装が整えられている分、100%希望通りのレイアウトを実現することは難しいでしょう。

 

また、事務所仕様の物件として、オフィスを退去する場合のメリットは、原状回復工事費用を抑えられることです。

 

逆にデメリットは、一部の内装工事が必要な場合があることです。
通常は、スケルトン状態にするため、物件全体の原状回復工事が必要ですが、事務所仕様の物件にするには、一部の内装工事だけで済みます。

 

事務所としてすぐに利用できる状態にすれば良いので、元々事務所として使用していた場合には、ほとんど工事費用がかからない場合もあります。事務所仕様として受け渡したい場合には、物件のオーナーに相談した方がいいでしょう。

 

居抜きと似ているセットアップオフィスとは

 

「居抜き」や「事務所仕様」の他に、最近人気が高まってきている「セットアップオフィス」というものがあります。
セットアップオフィスとは、オフィスに必要なものがセットアップされており、すぐに使える状態の物件ことで、受付や会議室、応接室などの必要な内装がすでに施されています。内装を新しくしているという点が、居抜き物件との大きな違いです。

 

セットアップオフィスを利用するメリットは、以下のようなことが挙げられます。

 

・デザイン性が高いものが多い(セミオーダーメイドも可能)
・内装、レイアウトの費用と時間の削減
・移転完了までの時間短縮

 

基本的な内装は決められていますが、カラーバリエーションや什器の種類など、一部セミオーダーで注文できる場合もあります。古くなったオフィスビルやテナントを借りてもらうために、ビル全体を大規模なリノベーションしている物件も多く、新しくおしゃれなレイアウトの物件が多いのが特徴です。
ただし、内装に強いこだわりを持っている場合には向いていないでしょう。
また、内装が整っている分、賃料が相場の1.5~1.7倍と割高な傾向にあります。ベンチャー企業など、会社が起動に乗るまでなどと契約期間が限定されている場合にはいいですが、長期間オフィスを借りる場合は、検討した方がいいかもしれません。

 

居抜き物件に向いているのは?

 

 

オフィスを借りる側も、退去する側もそれぞれ居抜き物件を利用するメリットがあります。しかし、何かと問題もある居抜き物件。本当に自社スタイルに合っているか、業種にあっているかなどを事前に確認しなければなりません。

 

では、一体どのような企業や業種が、居抜き物件を利用するのに向いているのでしょうか。居抜き物件を利用するのに向いている業種などを紹介するので、自社に合っているか確認してみてください。

 

コストを削減したいオフィス業務

 

オフィスを新規設立する場合や、移転する場合などはなるべくコストを抑えたいもの。オフィス自体にあまり予算を取れない企業にとって、居抜きオフィスはベストな物件です。

 

また、そこまでオフィスのスタイルにこだわりを持たない場合や、そもそも従業員数が少ない場合などは、そこまで内装や設備を新しく整える必要もないので、居抜き物件がいいでしょう。

 

初期費用を抑えたいカフェなどの飲食店

 

居抜き物件は、オフィス以外にも飲食店やカフェなどとして利用することが可能です。前テナントが、飲食店だった場合の居抜き物件も多く、内装が高価になりがちな厨房などがそのまま利用できるものも存在しています。
飲食店の開店までに必要な工事費用は、坪単価で40万円前後と言われています。居抜き物件を利用すれば、工事費を削減できるだけでなく、オープンまでの期間の短縮も可能です。

 

居抜き物件で注意するポイント

 

 

コストを大幅に削減できる居抜き物件は、様々なメリットがあります。しかし、メリットばかりではありません。通常のスケルトン物件と異なるため、借りる前には細かい点も確認しなければ、思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性もあります。

 

ここでは、居抜き物件を契約する前に注意すべきポイントをご紹介します。

 

退去理由に注意!

 

通常であれば、賃貸オフィスから退去する際に、備品や什器設備を持っていき、原状回復工事を行います。しかし、居抜きであるということは、そのまま使用していたものを残していくことになり、前の会社に費用を払えない事情が発生している可能性もあります。つまり、倒産や何らかの事情により原状回復工事費用などを支払えず、そのまま撤退せざるを得なかったというケースも少なくないのです。

 

しかし、オフィス移転に伴い什器や備品などを全て新しくする場合がほとんどで、「売買が面倒だから置いていく」というケースもあります。その場合、きちんと利用できるものが大半なので、事前に確認しておけば問題ないでしょう。

 

退去時のことも考慮する

 

居抜き物件を借りる際に、最も見落としてしまいがちな「退去時」の契約内容。特に注意しなければならないのは、退去時に「原状回復工事が必要か」ということです。通常のオフィス移転の場合は、原状回復工事をして、オフィスを借りる前の状態に戻してから受け渡します。

 

しかし、居抜き物件では、使用した状態のまま受け渡されるので、前借主からの「原状回復工事を引き継ぐ」ということになります。退去時に「居抜き物件として退去しても大丈夫」な場合もありますが、そうでない場合には原状回復工事費用がかかるので、事前にオーナーや管理会社に確認しておきましょう。

 

什器などの設備は所有権を確認

 

什器などの設備の受け渡しの際には、必ず前借主と新借主との間で「造作譲渡契約」を結びます。しかし、ここで注意しなければならないのが「所有権」が誰にあるかということです。

 

例えば、リース契約している設備などは、前借主との造作譲渡契約は結べず、そのままリース契約として受け継ぐか、あるいはリース会社に設備を回収されてしまう可能性もあります。また、所有権自体がビルオーナーや管理会社にある設備などは、修繕費を払わなければならない場合もあるので、事前にしっかり「所有権」の所在を確認しておきましょう。

 

設備、備品リストは必ず必要

 

居抜き物件のトラブルの中でも「残置物」のトラブルは非常に多いです。例えば、「聞いていた数より机が少ない」「エアコンがすぐに壊れた」など、什器や設備の数が足りない、すぐに故障したなどの問題が発生する場合があります。

 

このような問題を起こさないためには、設備や備品などをリスト化する必要があります。備品や什器、設備の個数や状態、確認すべき点などをリスト化して、造作譲渡契約の際に前の借主と確認できるようにしておきましょう。

 

まとめ

 

 

居抜き物件のオフィスは、コストの削減など様々なメリットがあります。レイアウトに制限はありますが、あまりこだわらない人にとっては、すぐに業務を開始できるので、メリットが大きい物件です。しかし、居抜き物件ならではの残置物などはトラブルの原因になりやすいので、設備や什器はきちんとリスト化し、入居してから不具合がないように調整しましょう。

 

居抜き以外にも、事務所仕様やセットアップオフィスなどの物件も存在しています。
自社のビジネススタイルや予算に合わせて適切なオフィス物件を選んでくださいね。

 

この記事を書いた人

IBASHO編集部

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オフィスで働くことをもっとたのしく・働く場所としてもっと快適に。「はたらく人を幸せにするメディア」IBASHOを運営しています。
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